9_5_金

一日の殆どを久下惠生さんのことを考えていた。

昨日は作ったばかりの「1991」という曲をやった。大阪にいた頃、21歳の頃のことを思い出して歌った曲だが、今その頃の心情を書こうと思っても当然違うものになってしまう。ただ情景描写をしても、どこか見え透いた作り物っぽくなってしないかと、ひやひやしながら歌っていた。
しかし、あの頃は本当によかった。ネットも携帯電話もなくて、本当にひとりでいた。最近は、電車の中でのdocomoの広告とか見ると反吐が出そうになる。さかんに家族の愛がどうのこうのと煽り、家族割りを勧めている。24時間無料通話で、家族同士で何を話すのか。
携帯を最近は手放したくてしょうがない。どこにも行かなくても、それだけでとてつもない冒険に出るようだ。

GO-BANG'Sの「Bye-Bye-Bye」という曲をふと思い出して、youtubeで何度も聴いた。昔、東芝EMI傘下のレーベルからレコードを出していた時、スタッフのひとりが「豊田くんのメロディーが好きだ」というひとがいて、妙にうれしかった。あの頃は歌詞ばかり取り上げられて、その書き方もつまらなかった。
そのレーベルのスタッフと、GO-BANG'Sの「Bye-Bye-Bye」ってすごいね、と話した。彼はまだ音楽業界にいるらしい。

日本の女性シンガーの歌うラブソングは好きではないが、この曲は何度聴いても感動してしまう。メロディーも歌詞も自然でいて、発明されたようなくらいすべてが初めて聴くもののように思う。1991年の曲だった。

別れの曲だが、それを甘酸っぱいキャンディーのようなものにしたソングライター森若香織さんはすごい。しかし、この曲を目をつぶって聴くと、久下さんの顔ばかり浮かんでくるのはどうしたものか。