1_13_火

昨日新宿タワーレコードで写真家、石川直樹の本が幾つか並んでたのを見た。色々な出版社から出してて凄いな、旬のひとかあと思っていたが、その並んでた本達は自分が手に取りたいと思うものではなかった。どれもよい感じなのだが、ミニチュアみたいで「よく出来ました」と言ってあげたくなる本だった。「よく出来ました」という言葉は、ロッカーにとっては最大限の侮辱、軽蔑の言葉であるが、本が売れないご時世ではよい言葉なのかもしれない。評価とある程度の売り上げが見込めるから、色々作れるんだろう。でもまあなんかつまらないムードであった。

自分が物を作ったり、ライブをやる時、いつも思い出す言葉がある。もう5,6年くらい前、打ち上げの席で会ったひとに「表現やるひとは、崩れ落ちないとダメなんだよ。あなたのアルバムはいつも1曲目から崩れ落ちてる。だから毎回買ってしまう。崩れ落ちるとこが見たいんだからさ」と言われた。「崩れ落ちる」という意味をそれからずっと考えては、未だに明確にはわからないのだが、最近何となくわかってきた。
フォームを崩すのは簡単だが、崩れ落ちるのはとてもむつかしい。意図してやるものではないし、狙っても嘘くさくて白ける。自分のやってることが崩れ落ちる瞬間があるのか、あるような気もする。そのあった時というのは、とても悔しいし恥ずかしい思いになるが、あ、これでお金貰えるわと思う。

今日のバイトは荷物の量は少なく楽だった。一緒に働いていた茶髪の女の子は「派遣や非正規雇用以下の、日雇いのうちらって何なんですかねー」と言いながら笑った。そういえば昨日はTVのニュースで映画『遭難フリーター』の監督、岩渕くんが出てて驚いた。先月のレコ発に来てくれてた。僕は彼の映画に曲を提供したが、映画は見てない。モダンでヒップなものが好きだから。でも渋谷で上映の時は一回くらいは駈けつけよう。