10_11_月

年内に再発予定の『実験の夜、発見の朝』の1曲のデモを繰り返し聞く。デモと言っても、スタジオで何日か掛けた録音で、手が込んだもの。アナログマルチを回した。溝の口のHALスタジオでエンジニア三好さんが付いていたが、ミックスはyes,mama ok?の金剛地武志さんが卓をいじっていた記憶がある。金剛地さんはドラム、ベース、ギター。向島ゆり子さんにヴァイオリンのダビングもお願いした。僕も色々細かいダビングをエフェクター掛けてやっていた。銃声をやたら鳴らしていたり。
この時の制作状況は、今思うと天国のようなお金の使い方だった。リハスタでじっくり音合わせ、プリプロでデモ、それから本チャンの録音。エンジニアも何人も来て貰って、その中で一番若くて、まだ普段はアシスタントだった内田直之と出会って、彼と一緒に本チャンの録音に入ろうと決めた。
スタジオでは色々あって、内田くんがディレクターにある提言をしたらディレクターに締められて、涙を落としそうになったりとか。内田くんも一枚のアルバムを手がけるのははじめてだったので、大変なプレッシャーだったと思う。当時、24~25歳くらいだった。まあ現場では色々あった。
再発はブックレットもボリュームある内容で、当時のライブ映像もDVDとして収録される。
一枚のアルバムとして、出来るだけ安く出したいと思うのも強いのだが、当時の諸々な記録を出せるところまで出したいと思うので、値段は3000〜3500円の範囲で決まると思う。
27歳の時に作った録音を40歳の自分が再発するとは思ってもいなかった。
東京で、よく生き延びたものだ。
色々うまくいかないことがあるのが、そうさせたのかな、とも思う。