6_8_日

午後〜夕方から雨が降るという予報だったが、家に居てもつまらないので、家族で歩いて恵比寿の写真美術館に森山大道展を見に行くことにする。

トコトコと歩く途中、信号待ちをしているタクシーの中から運転手さんが呼びかけてて、一瞬自分のことなのかわからなかったが、「いつも読んでますよ」と携帯をいじる真似をしてくれて、自分のことだとわかった。明るい青年だった。うれしかった。いつかライブ会場で会えるだろうか。思わず戸惑ってしまったが、ジーンズのポケットに入っているピックでも上げればよかったなどと思う。

写真展は盛況で、お客さんは清潔だが面白いこと言わないだろうなという顔つきばかりだったような気がした。こういう中で写真を見るのは、もうひとつ集中出来ない。

森山さんの写真は、自分が必要な物を正直にただ撮ってるのがよいなと改めて思った。後、一貫して品があるなと思った。そういう表現者が現代には殆どいない気がする。ちょっと自分に気に食わないことがあると、一転して口汚く罵るようなひとが多い。そういうことをしない辛抱強さというのは、打たれてこそ生まれてくるものだと思う。

一旦無になって、ヒリヒリしながらも写真に立ち向かっている80年代の写真もいいが、やっぱり70年代の「プロヴォーグ」「写真よさようなら」の頃の写真が、ずっと好きで何度も見て来たのでよかった。30代前半の森山さんの仕事には、自分も同じ30代前半に影響された。その頃一心不乱に『人体実験』『SING A SONG』を作って、もうあれくらいただ音楽の事を考えているということはないのではとも思う。この2枚は今でも作れてよかったと思う。応援してくれたひとに感謝している。

写真を見て、サッポロビール館で400円の飲みくらべセットを飲み、デパートを冷やかしてまた歩いて帰った。

妻が食事の支度をしている間、息子は同じ絵本を何度も読んでくれとすぐ持って来る。言葉喋らないのに、自分の想いがちゃんとあるのが可愛い。