6_28_土

近所の目黒不動尊で、毎月28日恒例の縁日。家族で出掛ける。午前中から出店も出てて、わらわらとひとがやってくる。土曜日で天気なので、稼ぎ時だろう。テキ屋さんには憧れるものがある。東京に来て、夏は町のあちこちでお祭りがあることに今でも驚いてしまう。大阪は殆どなかった。もんじゃ風お好み焼きや団子、わらび餅を買った。

不動尊の奥には小さな池があり、鯉や亀が泳いでいる。息子に見せると指差して、興奮してた。持って来てたパンの耳を池に、そして鳩にあげるが、鳩が物凄い勢いでバタバタと集まってきたので、怖くなってやめた。

夜、歌舞伎座立川談志談春の親子会。京都から来てた友達と見る。談志師匠は声がほとんど出なくジョークもキレはなく、それでもお客さんは白々しく笑ったりしていた。「談志、最高!」という客の声に、「そんな、見え透いて」と返していた。見ていて辛かったが、最後の長く綺麗なお辞儀を見て、これだけ見れただけでも来てよかったと思った。芸人人生賭けたようなお辞儀だった。
談春の「芝浜」ははじめて聴いた。談志のCDで何度も聴いた噺だが、最後のタメが効いて、サゲになるとこで鳥肌が立った。

それにしても、たったひとりで座布団に座って話すだけで、ちゃんと情景が見えて、スピード感や静けさを体感出来る芸事はやっぱりすごい。困ったことは、談春を聴いてしまうと、寄席に行く気が失せてしまう。大抵の落語は、もっちゃりしていて雰囲気はあるのだが、演者が賭けてくる感じがない。寄席というものに、帰属してしまってるからか。今日の親子会はそれはそれで「立川流」に帰属しているお客さん達かもしれなく、まあ帰属しないで何かが成り立つことはないのかもしれない。

隣に座っていた40代半ばから50歳くらいのおっさんは、坊主頭、黒いTシャツにジーンズ、リュックのアルバイト風情だった。始まる前にリュックから発泡酒を取り出し、旨そうにグビリと飲んでいていた。歌舞伎座なんだからもうちょっといい酒持ってくればいいやんと思ったが、仲入り後もまた発泡酒を取り出し、グビリと飲んで本当に楽しそうな顔をしていたのを見て、こういうひとこそ、本当の落語ファンで、粋なひとだなと思い改めた。

友達と新橋で軽く飲んで、家に帰った。