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夜、「亀戸の真理子」の働く焼き肉屋へ。「亀戸の真理子」とは99年にリリースしたアルバム『ROCK DREAM』収録の「悪い夏」に出てくるひとである。
先日10年ぶりに突然再会した。相変わらず口の悪い東京の下町の女の子であったが、かっこいいサーフィン好きの旦那さんと結婚して昼間は会社で働き、夜は毎晩日本酒を飲んでいる。

バイト終わって、ちょっと遅くなって店に行ったら、カウンターで真理子は常連さん達と飲んでた。僕はホルモンミックス炒めとライス、ビールを頼んだ。隣のおじさん(鈴木博文さんをごつくしたひとのよう)に「お兄さん、ビール飲むのに身体締まってるね−男前だし」と言われた。子どもの話しなどすると「おれも息子と飲むのが一番幸せだ」と話してくれた。おじさんはボトルの焼酎を割って飲んでいた。そういえば今日バイトで一緒だった青年は顔がアトピーのようだった。それほどひどくなかったが、汗をかくと大変なのかもと思った。昨晩息子は身体を痒がって、妻が夜中ずっと掻いてあげてた。僕はつい寝てしまって、そこまで気が回らない。大きくなる頃には治っていてほしい。子どもがいると色々なことを思うが、この隣のおじさんのようになれたらいいなと思う。「明日はハローワーク行くよ」と言いながら、楽しく飲んでいる。

真理子はこの間渡した『POP LIFE』を結構聞き込んでくれていた。意外でうれしい。広瀬陽一さんの序文も面白かったと言ってくれた。「でも、POPってあったから楽しくなるかと思ったら、暗いのばっかじゃん。ちょっとうつっぽいし」と言われて、自分では認識していたが、こう真っすぐ言われると、ははあって思ってしまう。「POP LIFE」が一番好きと言ってくれた。後「かくれんぼ」も。「14番ホームは日曜にしか聞かない。なんか迫って来て会社行くのがいやになるから」と言うので、「じゃ、なんで日曜に聞くん?」と尋ねて、言葉を返されたが忘れてしまった。多分、わざとそれでも聞くということだったと思う。
ママにはお年賀として、お餅を焼いてくれ、チョコレートも貰った。下町の小さな店だが、また来よう。

真理子は散々飲んで、家は比較的近いのに「タクシーで帰る」と言って、ママから「真理ちゃん、勿体ないから電車で帰りなさい」と何度も言われてたが、一緒に店を出ると路ですぐタクシーを拾い、旦那さんと犬三匹いる家に帰って行った。

帰りの地下鉄で、今朝真理子から来たメールを読み返した。「14番ホームで待ってるよ!」。行った場所は下町の焼肉屋だったが、確かに14番ホームで会えた気がした。